中年期の約80%が陥るといわれている心理的危機「ミッドライフ・クライシス」。人生に悩んでいる人だけでなく、順風満帆な人でもこの時期になると心の憂鬱や無気力感を感じる人が多いのです。昨今はコロナ禍で、さらにその傾向が強まりつつあるといいます。そこで今回は、自身も「ミッドライフ・クライシス」を経験したという医師・鎌田實さんの著書『ミッドライフ・クライシス』(青春出版社)から、「ミッドライフ・クライシス」に陥る原因8パターンを抜粋紹介します。
中年期は身体も心も問題を抱えやすい
発達心理学者エリク・エリクソンの提唱した「ライフサイクル・モデル」では、乳児期から65歳以上の老年期までを8段階に分けて、そのうち40歳から65歳の間を成人後期と区分けした。
人生が上り坂から下り坂に入っていくまさに成人後期、人間は心の問題だけでなく、身体の問題も微妙に関係しながらさらなる下り坂に入っていく。このいくつかの問題を抱えやすい成人後期に「ミッドライフ・クライシス(中年危機)」は起きるのだ。次に、ミッドライフ・クライシスが起きる原因を鎌田流に分析してみたので紹介しよう。
(1)自分の人生の頂点が見えてくる
40代に突入し、人生の頂点が思い描いていた以上に低いことを知った途端、言葉では言い表せない絶望感が押し寄せる。これからの人生が下り坂なのは承知しながら、自分の限界を知った時、ほとんどの人は心の憂鬱に悩まされてしまう。