株高や半導体需要増を受けて
増収増益の会社が年収を上げた

 2位の松井証券(180.00万円上昇)は、インターネット証券の先駆けだ。21年3月期決算は株高を背景に、増収増益を達成。毎年4月末に支給される賞与が例年より多かった。加えて、「在宅勤務も取り入れながら、コロナ禍にもかかわらず業務に励んだ全社員に報いる」(IR担当者)のを狙いに、「特別賞与」も支給したという。

 同社は20年6月、25年ぶりにトップが交代し、経営方針をがらりと変えている。先代の松井道夫社長は「選択と集中」「低コスト」を掲げ、従業員は少数精鋭が基本だった。

 一方、初の創業家以外からの就任となった和里田聡社長は、FX(外国為替証拠金取引)や米国株など同社が取り扱っていなかった金融商品の拡充を図っている。「業務の広がりに合わせて、必要な人材を積極的に採用している」(同)とのことだ。

 3位は検査装置の開発・製造を手掛けるレーザーテックで、年収は173.24万円上昇した。もともと従業員の平均年収が1000万円超えという高水準だったのが、さらに上がって1310.8万円に達した(20年6月期)。

 20年6月期決算は、世界的な半導体需要の増加を受け、半導体関連装置が売れに売れた。売上高が前期比約50%増、営業利益・経常利益がともに同約90%増の好業績をたたき出した。「増益は研究開発費に回すか、従業員と分かち合う」(IR担当者)。業績連動型の賞与は1960年の創業以来、過去最高額だったという。

 業務拡大につき従業員を急ピッチで増強していて、今期は数十人から100人規模で人員を増やす計画だ。増員対象はエンジニアが大半で、即戦力となる光学や電子機器、精密機構やソフトウエアなどの実務経験者を採用するという。

 ランキング対象期間から外れた最新の21年6月期決算は、売上高が前期比65%増、営業利益・経常利益・当期純利益が同70%以上増加し、「全ての面で過去最高の業績を更新した」(同)。この21年6月期決算を対象とした有報が公表されるのは9月末なので詳細はまだ分からないが、年収はさらに上がっている可能性が高い。