『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が20万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
大学の数学の授業を取るか、自分で独学するかを悩んでいます。
独学に関する質問です。大学の数学の授業を取るか、自分で独学するかを悩んでいます。数学をやる目的は、学問におけるリテラシーとして、と考えていますが、そのような目的で身につくのか不安です(教養のため、と同じような気がしてしまい)。やはりそれが必要である緊急性がないと独学では身につかないのでしょうか?
授業を取れば、その分その強制力を使えるのは分かっているのですが、私としては自分のペースでやる方が好ましい気がしてしまいます。また高校数学に自信がない状態で線形代数などにいきなり授業でついていけるのか、という疑問もあります。
高校数学の復習をしてくれる授業もありますが、今学期は英語でしか開かれおらず、その不安もあり、高校数学なら独学でいけるのでは、と思って踏みとどまってしまいます。
ただ、自分の意志の力をあまり信じていないので(以前にも同じような状況で独学を選んで失敗しています……)、独学でやり通せるか疑問なところもあります。
ここで独学を再度選ぶのは、客観的に見て、授業が怖いから逃げているだけでしょうか? やはり授業を取る方がやはり確実でしょうか。。
「授業で教わる」と「独学」の大きな違いはやはりその強制力だと思うのですが、それでも授業に対する恐怖から逃げるように独学を選ぼうとするとき、また、そこには重度の緊急性は生じていないときでも、私のようなものでも独学をやり通せる望みはあるのでしょうか。
二者択一ではなく、授業も独学に利用してください
[読書猿の回答]
授業か独学かの選択ではなく授業を活用しての独学が最適です。この場合、授業を取ることのデメリットはないし、自分でやらないとどのみち数学は身につきません。
授業についていけないかもとありますが、分からないなら質問だってできるし、強制的に直面させられることで、分からない所が具体的に判明するのは大きなメリットです。うまくいかないかもしれないからやらない、という選択は独学者が取るべき道ではありません。
授業に強制力を感じる健全な精神の持ち主ならば、安易さに流れやすく中断のリスクも高いという独学の弱点を、授業を取ることで補完できます。その上で、自分に足りない知識やスキルが多くあることを身をもって知ることは、独学の必要と動機付けをもたらすでしょう。
授業という、せっかくの機会から逃げては独学も何もありません。避けるのではなく挑み、楽しんでください。独学は、前に進むときこそ、あなたの身になります。