エアビー「アフガン難民2万人への住居提供」がただの慈善ではない3つの理由Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

今年8月、イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの首都カブールを占拠し、実権を掌握。アフガン情勢の混乱が続き、多くの難民の避難先が喫緊の課題となっている。こうした中、Airbnb(エアビーアンドビー)は世界中のアフガン難民に対して住居を無償貸与すると発表した。この取り組みは、Airbnbのビジネス上で大きな意義を持つ。三つのポイントを解説する。(慶應義塾大学商学部専任講師 岩尾俊兵)

混迷するアフガン情勢
エアビーが「難民への住居提供」を表明

 2021年8月24日、住宅のシェアリング・プラットフォームを提供するAirbnb(エアビーアンドビー)は、世界中に存在するアフガン難民に対して、Airbnbに登録している物件提供者の住居を無償貸与すると発表した。住居無償貸与のために必要な費用は、Airbnb共同創業者ブライアン・チェスキーが非営利活動法人Airbnb.orgおよびAirbnb.org Refugee Fundに寄付した資金で賄うという。

 もちろん、アフガン難民問題の解決に協力したいというブライアン・チェスキーの思いにうそはないだろう。だが、この問題を単なる美談として捉えてしまうのはもったいないと筆者は考える。

 というのも、この「アフガン難民2万人への住居提供」は、シェアリングエコノミー企業という特殊なビジネスモデルと、コロナ禍におけるプラットフォーム企業の生き残りという二つの要因に関連した、他企業にとっても企業経営の参考になる極めて戦略的な判断といえる可能性があるためだ。

次ページ以降では、Airbnbの「アフガン難民2万人への住居提供」が持つ戦略的意義について、同社のビジネスの特徴を踏まえ、三つのポイントを解説します。