被害者の中には、数千万円支払わされた人も……

 ビットコインを支払わせるタイプのセクストーション詐欺は2018年頃に出現しました。ユーザーのPCにハッキングして、ポルノを閲覧している様子を録画したと脅し、ビットコインを奪い取ろうとする手口です。当初は英語でしたが、冒頭で紹介したように今は日本語でも届きます。われわれNPO法人デジタルリテラシー向上機構への相談件数は少ないのですが、被害は小さくありません。

 セクストーション詐欺メールには、サイバー犯罪者のビットコインアドレスが記載されています。ビットコインのアドレスは誰でも検索でき、取引を確認できるのでチェックしてみると被害者が多数いることが分かります。無数のパターンがあるのですが、数千万円の入金があるアドレスがゴロゴロあります。最近出回り始めた文面のアドレスでも100万円くらいは入っています。

ある犯人のビットコイン口座には合計で3000万円近い入金がありました Photo:Y.Tある犯人のビットコイン口座には合計で3000万円近い入金がありました Photo:Y.T.

犯人がハッキングした手口や
ビットコインの買い方まで教えてくれる

 先日報告された文面を例に、どのように脅迫するのかを見てみましょう。

「端的に申し上げますと、あなたがお気に入りのアダルトサイトに訪問している間に、あなたのデバイスが私のウイルスに感染したのです」とのことです。

 スマートフォンやパソコンがウイルスに感染して乗っ取られ、勝手にビデオを録画する。あり得そうな話だけに「本当だったらどうしよう」とヒヤリとするのではないでしょうか。

 とはいえ、「ハッキングと言っても、セキュリティーソフトも入れているのだから大丈夫なはずだ」と疑うかもしれません。そこで、犯人は「このような状況に疎い方もいらっしゃいますので、より細かく現状を説明いたします」とご丁寧に解説を始めます。

「トロイの木馬」でPCのコントロール権限を獲得し、カメラを操作したり、SNSやPCの連絡先にアクセスしたりできるようになったとのこと。ウイルス対策ソフトが検出しなかったのは、「私のスパイウェアは特別なドライバを利用しており、頻繁に署名が書き換えられるため、あなたのウイルス対策ソフトでは捕らえられなかったのです」と言うのです。

 ITに詳しくない場合、「トロイの木馬」で検索することでしょう。すると、定番のマルウェアであることが分かります。トロイの木馬型マルウェアに感染すると、PCを操作されて銀行口座からお金を奪うこともできる、などと書かれているのを見ると、録画くらい簡単にできると不安になってしまうことでしょう。