北朝鮮の「核ミサイル脅威」を米韓が静観する理由、元駐韓大使が解説創立73年を祝う式典に出席した金正恩総書記 写真:朝鮮労働新聞HPより

巡航ミサイルに続き
弾道ミサイルも発射

 北朝鮮は9月11、12日に巡航ミサイル、次いで15日には弾道ミサイルを発射した。また、国際原子力機関(IAEA)によれば、北朝鮮は7月以降、北西部の寧辺のウラン濃縮施設を再稼働した可能性が高いという。

 巡航ミサイルの発射は、国連安保理の制裁対象とはなっていないが、北朝鮮の発表通り、1500㎞の射程を有するのであれば、日本がほぼ射程内に入り、危険性は一段と高まったといえる。しかし北朝鮮は、巡航ミサイル発射に対する国際社会の反応が緩やかであったのを見て、すかさず弾道ミサイルも発射した。

 北朝鮮による一連の挑発行動に対し、日本政府は「米国や韓国と緊密に連携し、必要な情報の収集・分析、警戒監視を行っていく」と述べている。

 しかし、北朝鮮の高まる脅威に対し、韓国は極めて無防備であり、対話の模索を続けている。米国もコロナ対応などの国内問題、中国への対抗、アフガン情勢への対応などに忙殺され、北朝鮮との対立は深めたくないようである。

 こうした状況では、日本は独自に、北朝鮮に対するより強力な防衛体制、外交姿勢を取っていく必要があるだろう。それはまた、日米韓協力の中で日本の発言力を高めることにもなる。