通常であれば完成品価格のほんの一部である輸送コストが、ここにきてサプライチェーン(供給網)の新たな障害になっている。すでに原料・人件費の高騰に苦しむ企業にとってはさらなる逆風だ。企業首脳からは、輸送コストが2023年まで高止まりするとの声も聞かれる。輸送コストはサプライチェーンの各段階で発生する。世界各国の製造拠点で原料加工が行われる中、鉄鉱石から鉄鋼、部品、完成品に至るまであらゆるモノについて移動を伴うためだ。海運コンテナ船の運賃は全般的に値上がりしており、トラック運転手は不足している。ガソリン価格も、今年早い段階における大方の予想よりも高い。米1ドルショップ大手ダラー・ツリーのマイケル・ウィティンスキ最高経営責任者(CEO)は先月、「2022年も著しい改善は期待できないと考えており、とりわけ前半はそうだ」と語った。また専門家の見立てでは、海運の輸送能力は遅くとも2023年には正常化するしている。