「小野薬品VSノーベル賞・本庶氏」泥沼訴訟は最終盤!問われた社長の資質とは?Photo:Diamond

 法廷の証言台に座った京都大学の本庶佑特別教授は、語気を強めて言い放った。

「小野薬品の状況からすると、『はした金』という意味だ」

 9月2日、大阪地方裁判所で、がん免疫治療薬「オプジーボ」の特許使用料などをめぐり、本庶氏が同薬の製造販売元である小野に約262億円を求めた訴訟の口頭弁論が開かれた。この日、法廷には原告の本庶氏と被告会社である小野の相良暁社長が出廷。両氏に対する尋問が行われた。

 小野はオプジーボを14年に発売し、これまで累計で5000億円近くを売上げてきた。一方、本庶氏はオプジーボの開発につながる発明で18年にノーベル生理学・医学賞を受賞したが、計56億円しか得られていないと主張。小野の売上げからすると「はした金」であると強調した。しかも、本庶氏は、小野から得た特許料を若手研究者のための基金設立の資金に充てるつもり。「特許を持たないことも検討していた。でも将来、京大の若い研究者が育つには資財を獲得する必要があった」と証言した。かくして若手を思うノーベル賞受賞者と強欲な製薬企業という対立構図が描かれ、相良氏は本庶氏の批判を一身に浴びた。法廷闘争にまでもつれ込んだオプジーボの特許問題は、相良氏の社長としての資質まで問われる展開となっている。