新型コロナウイルス禍の中、世界的に住宅価格が記録的な水準に跳ね上がっており、各国で「家が買えない」問題が喫緊の課題として急浮上してきた。政策担当者は価格急落や景気の腰折れを回避しながら、値上がりを抑制するという難しいかじ取りを迫られている。
テキサス州オースティンからアイルランドのダブリン、韓国ソウルまで、各国の主要都市では世界的な不動産ブームにより、多くの世帯で手が全く出ないほどの水準まで住宅価格が高騰している。豪シドニーでは、4-6月期に住宅価格が1日当たり870ドル(約9万7000円)近く値上がり(不動産会社レイ・ホワイト調べ)。英国では、初回住宅購入者の支払額が1年前の水準を平均で32%上回った(不動産代理店ベンハム・アンド・リーブス調べ)。
エコノミストの間では、賃貸住まいから抜け出せない、もしくは身の丈以上の借り入れを行う市民が増えることで、主要都市で長年にわたり解消できないほど格差が拡大し、政治的な分断を深めることになりかねないとの懸念が高まっている。