ファーウェイ副会長釈放、取引成立までの舞台裏Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

 現地時間24日午後4時30分、中国国際航空のボーイング777Wが中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を乗せてカナダ・バンクーバーから飛び立った。ちょうどその頃、中国で拘束されていたカナダ人男性2人が空路で北京を後にしていた。

 綿密に調整されたとみられるこの「捕虜交換」により、米中加3カ国の関係をこじらせていた大きな火種が解消された。背景には、孟氏が従来の法的立場を一転させたことで、先週に入って交渉が大きく進展したことがあった。米司法省当局者や孟氏の弁護団関係者らが明らかにした。

 関係筋によると、週末には、中国出国を2018年以降禁止されていた米国人ビクター・リウ、シンシア・リウ両氏の帰国が許可された。

 孟氏はそれまで数年間堅持していた姿勢を転換し、一部の不正行為を認めることに同意。これが転機となり、カナダ人の企業家マイケル・スパバ氏と元外交官マイケル・コブリグ氏の解放に向けた段取りが一気に動き出した。当局者らが明らかにした。両氏の解放はあまりに性急に手配されたため、2人は北京で飛行機に搭乗する直前まで帰国が認められたことを知らされていなかったという。

 中国国営メディアは、帰国した孟氏を国家の英雄と称賛し、「巨大な力を恐れず、覇権国家に立ち向かった中国人の強い意志」が同氏の釈放を実現したと主張した。カナダ人男性2人の解放についてはほとんど言及しなかった。実のところ、ファーウェイ幹部らは孟氏の釈放に向けて数カ月にわたり水面下で地ならしを行ってきた。事情を知る複数の関係筋が明らかにした。中国政府の広報担当者はコメントの要請に応じなかった。