「好き」なものを追求するから、
「特別な価値」が生まれる

 例えば、お付き合いさせていただいている経営者のネットワークに、ぜひお目にかかりたい「大物」がいるとします。

 ところが、知人の経営者に仲介していただこうとしても、そのような「大物」とは、簡単には会食などさせていただくことはできません。そこで、「予約の取れないお店」の価値が効いてくるのです。

 たとえ「大物」であっても、「予約の取れないお店」にはなかなか行けませんから、そういうお店にお誘いすると、「じゃ、ちょっと行ってみようかな」となるわけです。

 そして、そのお店の個性的なオーナーともかなり親しく、近い距離感になっている僕の姿をみて、「こいつ、なかなか力あるな」とも思っていただける。「予約の取れないお店」で予約が取れるのは、ある種のステータスとして機能してくれるのです。

 しかも、その会食に呼ぶのは、「肉料理が大好きな人たち」ばかりですから、楽しい場所になるに決まっています。そして、楽しいからこそ会話が弾み、普段は口にできないような「本音」まで語り合えるようになります。自然と「質の高い集まり」にすることができるのです。

 そして、そういう場所を主催した僕に対して「価値」を認めていただけ、後日、一対一でお目にかかる機会をいただくことができるようになります。

 このように、自分が「好き」なものを極めて、それをみなさんと「共有」しようとすることで、遠い存在である「大物」とのコネクションも作り出すことができるようになるのです。

掛け算することで、
「価値」を最大化する

 もうひとつ、大きかったのがゴルフです。

 僕は、スポーツはなんでも好きですが、プルデンシャル生命保険に入ってから始めたゴルフにはどっぷりとはまりました。

 そのきっかけは、アメリカで行われるゴルフの祭典「マスターズ・ゴルフ・トーナメント」の観戦に行ったことです。

 TBSに勤めていた頃にマスターズの中継を担当していましたが、現地に行ったことはありませんでしたし、行ってみたいとも思っていませんでした。ところが、好きで通い詰めていた焼肉屋のオーナーが大のゴルフ・ファンで、長年マスターズの観戦に行っておられ、「今度、一緒にマスターズ観に行かない?」とお声がけいただいたのです。

 当時は、ゴルフ経験もありませんでしたし、興味もそこまでなかったので、「どうしようかな……」と思いましたが、TBSにいた頃から、マスターズが行われるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブに入ること自体がすごいことで、マスターズの観戦チケットも、お金を出せば買えるようなものではないことを知っていました。だから、せっかくのチャンスだから、思い切って行ってみることにしたのです。

 そして、実際にマスターズの現場で観戦をしているときに、こんなゴルファーにとって夢みたいな場所にいて、世界最高峰のプレーを目の前で見ているのに、自分自身がゴルフをしていないのは、ゴルフとゴルファーに対して失礼だと思い、「ゴルフを始めよう。そして、自分が主催するゴルフコンペを始めよう」と決めたのです。

 そのことが思わぬ「価値」を生み出しました。

 実際にゴルフを始めて、さまざまな方とお目にかかったときに、「実は、ゴルフを始めたのは、マスターズ観戦に行ってからなんですよね」と言うと、どなたも、「え? マスターズに行ってから始めたの?」「なんで行けるの?」「どうやってチケット取ったの?」とみなさん一様に驚かれるのです。要するに、「こいつ何者?」と強い興味をもっていただける。ある種の「ステータス」として機能してくれたのです。

 そのうえで、その方が魅力を感じるような人物と一緒にゴルフをする機会をセッティングすれば、かなりの確率で「ぜひ、行きたい」という話になります。

 例えば、年商1兆円を超える「超大物経営者」とお話するチャンスがあったのですが、その方は野球とゴルフが大好きでしたから、「マスターズ」の話をして興味をもっていただいたうえで、僕が親しくさせていただいている野球選手の名前を出して、「一緒にゴルフに行きませんか?」とお誘いしました(「ゴルフ」と「野球」の掛け算で価値を最大化したわけです)。

 すると、普通ならば、相手にもしていただけないほどの「大物」であるにもかかわらず、ほとんどふたつ返事で「OK」をいただくことができました。しかも、日程調整などのためにLINE交換までもしてくださった。それ以降、秘書を通さず、直接LINEでやりとりする関係になることができたのです。