いわゆる普通の便なのか、あるいは泥状便か、はたまた水様便か。便の形状によっても量によっても異なるが、「アンダーヘアはないほうがありがたい」というのが介助する側の痛切な願いである。とりわけ毛量が多く縮れの強いアンダーヘアに、硬い便がからみついてしまったときは始末が悪い。清拭しても簡単には取れず、陰洗ボトルでぬるま湯を流したとて、こびり付いてなかなか取れないのだ。他の業務も、予定している段取りもある中、一人の排泄介助に多大な時間を要するのは正直しんどいというのが本音である。だから「介護脱毛」というものがあるならば、大賛成だというのが現場の声だ。

 さらに「介護脱毛」が介護する側だけのメリットではないことを、現場で確認し合う。 

(介護士が入念に清拭したつもりでも)アンダーヘアにこびり付いた便は少なからず残るだろう。それが臭いのもととなったり感染症の原因となったりすることがあるので、アンダーヘアは当人のためにもないほうがよい。

 実際、筆者の現場でも尿路感染症の疑いで入院した方がいたが、原因は(介護士が入念に清拭したつもりでも)陰部の清潔保持ができていなかったことによる。アンダーヘアという「ジャングル」は、目視では捉えにくい細菌などの温床にもなり得るからだ。

 このように、介護する側にも介護される側にもメリットばかりだと思われる「介護脱毛」だが、当然ながらデメリットもある。その筆頭がコスト面だ。言わずもがな、介護脱毛にもお金はかかる。ちなみに前述のリゼクリニックの場合、ほぼ理想のアンダーヘアを手に入れられる5回コースで、総額9万9800円(税込み)。

 他のデメリットとして、束の間ではあるが、施術時に下半身を露わにするという状況に耐えられない人もいるだろう。また、一度レーザー照射で脱毛した箇所はもう元には戻らないので、そこにためらいを覚える人もいるかもしれない。

 介護脱毛を検討している人は、そのようなデメリットまで鑑みたうえで施術へと踏み切るのがよいだろう。