筆者は日中の介護施設との交流を多く持つが、さまざまな点にその違いがあると感じる。「食」もその一つだ。中国の介護施設では、高齢者が驚くほど「よく食べている」のである。日本と中国、高齢者の「食」はどう違うのか。文化の違いも併せて紹介する。(日中福祉プランニング代表 王 青)
高齢者がみな「ぽっちゃり」
食事の質で施設が選ばれる中国
筆者は仕事柄、日本人の中国の介護施設視察をアテンドするが、施設を見学する日本人の多くが驚くことがある。
それは、入居している高齢者がみんな「ぽっちゃりとしている」ということだ。日本の高齢者と比べると、足腰がしっかりして太っている人が圧倒的に多い。ある訪問看護向けの調査によれば、日本の高齢者の平均BMIは約18だという。一方で、中国の多くの介護施設を訪問している医師は、「入居者の平均BMIは25を超えているのではないか」と話す。
同じアジア人であり、同世代、同程度の介護レベルの高齢者であっても、体重が大きく異なる。なぜか。大きな要因の一つが、「食」の違いにあるといえる。
ここでいう「食」とは、単なる食べ物を指すのではなく、食べる文化、食べることに関する考え方などを含む。
まず、日本の高齢者と比べると、中国の高齢者は「食べる量」が違う。