――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター
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8月は静かな月のはずだが、不思議なことに歴代の米大統領にとっては悲惨な月になることが多い。ジョー・バイデン大統領にとっても今年の8月はそうだった。支持率が下落し、まだ回復できていない。
悲惨な状況下でのアフガニスタンからの撤退、それに伴って生じた同盟諸国との緊張関係、新型コロナウイルスのデルタ株の感染急拡大、民主党の激しい内部対立を背景とした国内政策面での行き詰まり、南部国境における不法移民の急増――これらの事態が毒薬の材料のように混ざり合った。米政治サイト「リアルクリアポリティクス(RCP)」によると、バイデン大統領の仕事ぶりに対する全国世論調査の支持率の平均値は、8月1日には51.3%だったが、同月末には46.3%に低下した。その後支持率はさらに下がり、今週には43.3%となった。