税務署「印鑑を全部出してください」…税務調査の本当の狙いが怖すぎた
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

税務署「印鑑を全部出してください」…税務調査の本当の狙いが怖すぎたPhoto: Adobe Stock

税務署が「印鑑」を厳しくチェックする理由

 本日は「相続と税務調査」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。

 相続税の税務調査では、「これって税金に関係あるの?」と疑問に思ってしまうような質問をたくさんされます。ただ、それらはすべて相続税に関係のある質問です。その1つをご紹介します。

【質問】この家にあるすべての印鑑を出してもらえますか?

 税務調査が行われると、「今、この家にあるすべての印鑑を出してもらえますか?」と言われます。指示に従い、印鑑を渡すと、調査官は「印影をいただきますね」と言いながら、印影を取っていきます。このとき、最初の1回目は朱肉を使わずに印影を取ります。

 おっちょこちょいな調査官なのかと思いきや、これはあえてそのようにしているのです。朱肉を使わずに印影が取れた場合、その印鑑は最近使用したと推定されます。税務調査は、実際に相続が発生してから2年後くらいに行われます。

 故人の実印は、基本的に亡くなった後に使う機会はなくなるはずです。それにもかかわらず、故人の実印が最近使われたというのは、契約書のバックデイト等の疑いが浮上します。

 バックデイトとは、過去から契約書が存在するように見せかけて、本当は日付を遡って契約書を作成するという文書偽造行為です。昔から贈与契約書があったと見せかけるために、税務調査直前に贈与契約書を偽造する人がいるので、このような調査が行われます。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)