脱炭素推進に伴うコスト増による
2050年のGDP押し下げ幅
脱炭素に向けた取り組みが本格化し、各国政府は競うようにグリーン投資を起爆剤とする成長戦略を打ち出している。ただ、何十年もかかる移行期間に予想される莫大なコストを上回る成長への押し上げを実現することは決して容易ではない。
大きなコストの一つはエネルギー価格の上昇だ。今後は排出される二酸化炭素に価格付けを行い、排出した企業などにお金を負担してもらう「カーボンプライシング」制度が世界的に本格導入されていく。これまで無料で乱用してきた地球環境について、何倍ものコストを払うことは、エネルギー危機のような負の供給ショックが何十年も続くことを意味する。
見逃されがちなコストは化石燃料を前提とした既存の物的・人的資本が急速に価値を失うことだ。企業が新エネルギーに対応できない既存設備を一気に償却することの収益に与える影響は甚大だ。