コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所、三井不動産などの「不動産」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
不動産4社が前年同期比増収
住友不動産は減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界5社。対象期間は21年4~6月の直近四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・三菱地所
増収率:19.4%(四半期の営業収益3074億円)
・三井不動産
増収率:10.2%(四半期の売上高4487億円)
・住友不動産
増収率:マイナス20.7%(四半期の売上高2504億円)
・野村不動産ホールディングス
増収率:7.4%(四半期の売上高1465億円)
・東急不動産ホールディングス
増収率:24.6%(四半期の売上高1873億円)
※5社とも収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の当該四半期の決算短信における開示方法に準じて、前年同期の営業収益・売上高と増収率には同変更を遡及適応していない数字を用いている。
不動産業界5社の四半期増収率(前年同期比)は、5社中4社でプラスとなった。住友不動産は唯一、前年同期比減収となっている。
この減収の要因は何だったのか。また各社の四半期増収率はどのように推移しているのか。次ページ以降では、データを交えて紹介する。