決算報夏、化学Photo:PIXTA

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、日本ペイントホールディングスなどの「化学」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

化学メーカー5社
2~4割超の大幅増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界5社。対象期間は21年4~6月の直近四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・信越化学工業
 増収率:20.8%(四半期の売上高4342億円)
・日本ペイントホールディングス
 増収率:45.9%(四半期の売上収益2662億円)
・旭化成
 増収率:28.2%(四半期の売上高5834億円)
・三菱ケミカルホールディングス
 増収率:28.4%(四半期の売上収益9283億円)
・東レ
 増収率:29.2%(四半期の売上収益5137億円)

 化学業界5社の四半期増収率(前年同期比)は、全てプラスとなった。いずれも2~4割超の高い増収率を記録している。

 一方で、背景を分析すると、これらの数字だけでは分からない「業界内格差」が大きく開いていることが浮き彫りになった。その理由とは。次ページ以降で詳しく解説する。