決算報(産業用装置・システム/業務用機器)Photo:123RF

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日立製作所、東芝などの「産業用装置・システム/業務用機器」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

東芝・日立、ともに大幅増収でも
「格差」のワケ

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の産業用装置・システム/業務用機器業界5社。対象期間は21年4~6月の直近四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ダイキン工業
 増収率:37.4%(四半期の売上高7990億円)
・日立製作所
 増収率:48.5%(四半期の売上収益2兆3674億円)
・東芝
 増収率:21.3%(四半期の売上高7279億円)
・三菱電機
 増収率:24.3%(四半期の売上高1兆664億円)
・三菱重工業
 増収率:9.5%(四半期の売上収益8517億円)

 産業用装置・システム/業務用機器業界5社の四半期増収率(前年同期比)は、全てプラスとなった。5社中4社が2割超の大幅増収となっている。

 しかしこの大幅増収の背景には、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて前年同期に当たる20年4~6月期に売り上げが大幅に減少していた事情がある。前年同期の落ち込みからの「反動増」が売り上げを押し上げた側面が強いのだ。

 では、コロナ前と比較すると、各社の売り上げはどのくらいの水準にまで回復しているのだろうか。各社の数値を比較すると、業界内で明暗がくっきり分かれている現状が明らかになった。次ページ以降で詳しく見ていこう。