現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
彼の「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、思考の原点をマジメに語った『1%の努力』は、34万部を超えるベストセラーになっている。
この記事では、ひろゆき氏にさらに気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)
悪いのは誰?
世の中、匿名による誹謗中傷が耐えないと言われています。
その諸悪の根源は、「2ちゃんねる」にあるように言われます。けれど、長年、ネットの世界を見てきた僕が感じる印象は、まったく違います。ネット上の「質」に関していうと、年々、悪くなっています。それについて、語っていきましょう。
「ソースある?」という機能
匿名で書き込む文化は、インターネットの出現による副次的なもので、遅かれ早かれ世の中に登場していたと思われます。
影で悪口を言ったり、文句を言ったりすることは、「快感」ですからね。脳の仕組み上、必要なことなのかもしれません。
誰でも言えそうな悪口に関しては、芸能人や有名人の人たちには慣れてもらうしかありません。それは、週刊誌がゴシップ記事を書いたり、勝手な噂話を流しているのと大差ないからです。
しかし、取り返しのつかないような嘘は別です。「誹謗中傷」や「デマ」は、有害です。それらは消すための仕組みが必要です。
初期の2ちゃんねるでは、「ソースある?」という書き込みがよく見られました。これは、書き込んでいる怪しい情報に対して、「根拠はあるのか?」「データはあるのか?」と、真実を追及するためです。
2ちゃんねるでは、「デマ」に対してかなり厳しい目が向けられました。それは、初期のインターネットでは、大学生やネットに詳しい人などが多数派で、「データ」や「根拠」に敏感だったからでしょう。
匿名掲示板は、嘘ばかりが書かれている印象があるかもしれません。しかし、悪い影響を及ぼす書き込みは、みんなで浄化していく文化があったんですよね。
立ち止まって考えるクセ
それに引き換え、今のTwitter上は、デマがデマのまま拡散されます。2ちゃんねるであれば、スレッドをたどれば、なんとなく正しいであろう「集合知」に至ることができました。しかし、Twitterではそれは面倒な作業になってしまいます。
それでもちゃんと情報を追っている人なら、その後、新事実が出てきたことや事実無根だったことなどに気づくことができますが、多くの一般人はセンセーショナルなデマを信じたまま、他のことに目移りして行ってしまいます。
この動きは、今後、加速するでしょう。
なぜなら、僕たちはもう、動画は「10秒」、テキストは「2~3秒」くらいしか見続けられません。じっと立ち止まって考えることは、非常に我慢を強いられます。記事は読まれず、タイトルだけを見て中身を決めつけます。
一度、こういう思考になってしまったら、かなり意識的に変えていかないと難しいでしょう。
そうならないためには、「ソースある?」「データある?」と、瞬時に考えるクセをつけるしかありません。
怪しい情報はとりあえず、ググってみる。そして、誰が発信源かを調べてみる。根拠がなさそうなら、いったんグレーな情報として保留しておく。そういう一手間をすることが、これからの時代を生き抜く上では欠かせません。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。