地元小売店をメインに
八戸経済の振興を目指す
第1弾発売の4種、「ホワイトエール」「ヘイジーIPA」「アメリカンIPA」、そしてヴァンラーレ八戸と提携した「ヴァンラーレエール」は、最初の出荷本数を1カ月弱でほぼ完売。その後、「ヴァイツェン」「ゴールデンライト」の2種を加え、使用するホップや酵母、発酵スタイルなどで多様な味わいを楽しめる。
山形氏のこだわりは流通・販売スタイルにも及ぶ。直販は22年にスタートするECサイトに限定し、地元への経済効果を見据え、八戸市内のスーパーや百貨店、道の駅などで取り扱う。ヴァンラーレエールの売り上げの一部は同チームに還元する仕組みだ。「まずは地元に愛される商品になることが大前提。地域循環で八戸経済全体の振興を第一に考えています」と山形氏。漁業を主産業としてきた青森県下北郡佐井村の新事業創出による村おこし計画にも参画。同村が手がけるホップを使ったビール醸造をはじめ、ビールやホップを軸としたツーリズム構想も支援する。
●株式会社カネク醸造 事業内容/クラフトビール製造・販売、従業員数/3人、所在地/青森県八戸市南郷市野沢屋敷添14-2、電話/0178-38-5474、URL/kanekujyozo.com
今後は、コロナ禍の収束を見据えた飲食店などへの展開と、「私ども生産者、スーパーのバイヤーさんなどの流通、購入するお客さまの三者を結び、意見を交換し合う取り組みを実践し、息の長い商品へと育てていきたいですね」と山形氏。さらなる収益アップを目指し、第2、第3の事業の柱も構築していく構えだ。
将来的にクラフトビール事業は若い世代に任せ、地域振興につながる新たな事業を起こしたいと意欲的に語る山形氏。八戸愛あふれるチャレンジは今後も続く。
(「しんきん経営情報」2021年11月号掲載、協力/青い森信用金庫)