新年号を発表する菅義偉官房長官(当時)官房長官だった菅氏の知名度が急速に上がり、首相に上り詰めるきっかけとなったのは、2年前の改元の際に新元号の発表者となったことだ Photo:Pool/gettyimages

元号が原則の政府文書
ピンとこない時間的な感覚

「事業費の規模は昭和60年以来の大きさになった」

「記録を調べると前回この条項を発動したのは平成11年のことだ」

 政府の記者発表を聞いていると、こんな説明が注釈なしで飛んでくる。だが残念ながら時間的な「距離感」がすぐに浮かんでこない。

 まず、ネットに入り「元号・西暦換算早見表」を立ち上げ、「昭和60年=1985年」とか「平成11年=1999年」と確認した上で、2021年から引き算をする。そこで初めて「36年ぶりの規模」と書けるし、「22年前に発動例がある」と判明する。

 身近なことでも戸惑うことが少なくない。地元の市役所に行く。そこで必要な書類のために申請書に日付を記入しようとすると、「令和 年 月 日」とあらかじめプリントされている。元号表記の申請書なのだ。

 ええと、今年は令和にしたら確か3年だと思うけど…などと考えるが自信がない。カバンに突っ込んであった朝刊の日付を見る。「2021年(令和3年)」と表示されている。そこで初めて「今日」の日付を記入できた。

 こうした経験をした人は少なくないのではないか。