2023.8.29
日本の“世襲政党”も導入すべき米国の「予備選」、旧来型政治から脱却の効能
米国の民主主義を活性化させているのが、大統領選や議会議員選の予備選だ。時に若手の人材がベテラン現職を押しのけて新風を吹き込む。世襲批判の強い自民党なども導入を検討する余地はある。
ジャーナリスト/帝京大学経済学部教授
かるべ・けんすけ/1955年東京都生まれ。79年3月早大卒。同年4月時事通信社入社。経済部次長、ワシントン支局長、ニューヨーク総局長、解説委員長などを経て2020年3月退社。20年4月より帝京大学教授。著書に「日米コメ交渉」(中公新書)「検証 バブル失政」(岩波書店)「ドキュメント 米国の金権政治」(岩波新書)「官僚たちのアベノミクス」(同)「強権の経済政策」(同)など。
2023.8.29
米国の民主主義を活性化させているのが、大統領選や議会議員選の予備選だ。時に若手の人材がベテラン現職を押しのけて新風を吹き込む。世襲批判の強い自民党なども導入を検討する余地はある。
2023.4.5
植田和男新総裁の下、日銀新体制が9日にスタートするが、初の学者総裁誕生の陰で女性の登用は見送られた一方、「政治任命」は踏襲され、二つの課題は5年後の総裁・副総裁人事での宿題として残った。
2022.12.13
予想外の共和党の苦戦となった米中間選挙でトランプ前大統領の影響力は急速に低下しそうだが、政治家への暴力容認と三権分立の統治原則の軽視という負の遺産は米国の民主主義を危機にさらす。
2022.9.22
中間選挙対策でバイデン大統領は共和党の穏健派を引き付けトランプ支持者と分断を狙う戦術に転換した。妊娠中絶見直し判決に女性の反発が強まり共和党支持層が一枚岩でなくなっているからだ。
2022.7.14
日銀はアベノミクスの異次元緩和推進で長期金利のコントロールや株式市場の下支え、財政の安定化までを担うようになった。金融緩和「出口」では“異形の中央銀行”の権能奉還が難題だ。
2022.7.8
物価高対策が参院選の主要争点になる中、自民党内の財政拡張派が「コアコアCPI」は上がっていないと金融緩和維持を主張する。「2%物価目標」達成となれば財政拡大策を取りにくくなる事情もあるようだ。
2022.4.21
ロシアへの大規模制裁で世界は冷戦時のブロック経済に逆戻りしかねない状況だ。市場経済化支援などで民主主義・自由経済体制への取り込みを狙った関与政策は対中国に続いて頓挫した。
2022.2.4
バイデン政権の新通商政策は、中国に対抗するインド・太平洋での連携の枠組み作りが狙いのようだが、中身ははっきりしない。日本は「日米自由貿易協定」の“不平等”が固定化される懸念がある。
2021.10.29
ハンコ廃止などの“改革”が進む政府だが、元号表記の使用は相変わらずだ。日常生活では西暦使用への流れは進んでいる。元号のみにこだわる理由はない。せめて元号・西暦併記にかじを切る時だ。
2021.8.13
2019年に合意した日米貿易協定は先送りされた米国の自動車関税撤廃などの交渉が行われないままだ。日米の政治事情が背景にあるが、国民には実態を糊塗した「不誠実な説明」が通商交渉で繰り返されている。
2021.6.2
経済安全保障の名の下に貿易や投資を制限する動きが広がる。グローバル化推進から「中国デカップリング」に転じた米国に象徴される通商政策は自由貿易の歯車を逆戻りさせる懸念がある。
2020.10.1
アベノミクスは、安倍晋三前首相の下に集まった、民主党政権の官僚排除に反発した経済産業省の官僚とリフレ派の経済学者らが作った“たたき台”が基になった。「首相+側近主導型」の政策決定の本格的なモデルになったが、課題も残した。
2019.9.27
新しい日米通商協定はトランプ大統領の再選への「協力」が優先され、米国の自動車関税先送りだけでなく、貿易自由化を目指す通商交渉の原則が無視され禍根を残すものになった。
2018.10.10
政府高官の考えを無視する決定を繰り返し、プーチン大統領や金正恩北朝鮮労働党委員長など強権指導者と「取引」外交を展開するトランプ大統領に対し、米メディアでは「皇帝大統領」という言葉で危機感を強める。
2018.9.6
貿易不均衡問題を話し合う日米の新たな通商協議(FFR)が始まったが、米国が日本に黒字削減の数値目標や為替調整、経済構造の改革まで迫ったかつての日米摩擦とは趣が違う。米国の“変化”が影を落としている。
2018.7.26
米政府が実施に向け調査中の自動車や同部品への20%程度の追加関税が実施されれば、日本に「4兆円」のマイナスの影響が出るともいわれている。米政治事情を考えれば貿易戦争が日本に波及する可能性は少なくない。
2018.3.15
トランプ大統領が打ち出した鉄鋼、アルミニウムの製品への高関税措置は単なる自国の産業保護や安全保障政策にとどまらない。貿易戦争を勃発させるだけでなく、WTO体制を形骸化させる恐れがある。
2017.6.28
政府高官の指名の遅れや内部対立で、トランプ政権の貿易政策の方向が定まらない中で急浮上しそうなのが、一方的に米国が輸入規制をする通商法の活用だ。鉄鋼などが対象に挙げられ、日本にも80年代の日米摩擦の悪夢の再現となりかねない。
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