原油先物が一時マイナス価格をつけた歴史的瞬間から1年半が経過し、原油市場は正反対の状況にある。2020年4月、ロシアとサウジアラビアの価格戦争で世界中に原油があふれて行き場を失ったのに続き、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって石油需要が激減。原油価格は一時的にマイナス圏に沈んだ。つまり売り手が買い手にお金を払って原油を引き取ってもらわなくてはならない状況だ。現在、その逆の力学が働いている。最たる懸念は米原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)の現物を受け渡す拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫があまりにも低下していることだ。これ以上低下すれば、WTI先物価格を劇的に押し上げる可能性がある。昨年の供給過剰で、原油価格が想像を超える動きをしたばかりだが、はるか昔の思い出のようだ。
原油市場の需給力学、わずか1年半で反転
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