新型コロナウイルスの大流行はベビーブーマー世代の引退を後押しした。その結果、労働力供給のひっ迫に拍車をかけ、雇用主が埋めなければならない穴が生じている。早期に退職する余裕がない(すなわち低所得で教育水準が低い)高齢の労働者ほど、コロナ下で労働市場から離脱するケースが増えたことが調査で判明している。問題は、その離脱が一時的なのか恒久的なのかということだ。コロナ感染を恐れて仕事を辞めた人もいれば、適切な仕事を見つけられないだけの人もいる。経済学者によると、株や住宅などの資産価値が上昇したことも、裕福なベビーブーマーが予定より早く引退する一因になった。また引退者が増えたのは労働市場に復帰する人が減ったせいだとの見方もある。