林芳正氏が第2次岸田内閣の外相に就任した。一部では、彼を次期首相候補とみる声も上がっている。林氏に「首相の資質」は備わっているのか。(ジャーナリスト 横田由美子)
林芳正は「総理になる器の男」
との声も上がるが…
「林(芳正)は、総理になる器の男だよ。あとは、時の運があるかどうかだけだ。時代が味方すれば、今日が宏池会時代の幕開けになる」
11月10日召集の特別国会で、岸田文雄自民党総裁(宏池会)は、再び首相に指名された。このとき私は、テレビで第2次岸田政権の組閣人事を、政界を引退したある政治家の事務所で共に見ていた。この発言は、そのときに彼がつぶやいた言葉である。
総選挙では、自民党は事前に懸念されていたような大敗はなく、単独で国会を安定的に運営することのできる261議席(小選挙区189、比例72)を獲得。連立政権を組む公明党の議席を合わせると293議席となり、過半数を大きく上回る結果となった。
しかし、現職の自民党幹事長だった甘利明氏が新人の太栄志氏(立憲民主党)に敗北し、ギリギリ比例で復活という結果となった。初の自民党現職幹事長敗北という冠を得た甘利氏は、屈辱に震えながら、幹事長辞任の意向を岸田首相に伝えたという。このため、岸田政権は、即座に新幹事長を選任しなくてはいけない事態に陥っていた。そこで白羽の矢が立ったのが、茂木敏充前外相(竹下派)だ。