自民党石原派が「大将」伸晃氏落選で消滅の危機、実は見えていた凋落の傾向小選挙区での敗北が確実となり、支持者らに頭を下げる石原伸晃氏 写真:スポーツニッポン新聞社/時事

第49回衆議院選挙が終わった。「世代交代選挙」など、さまざまな分析記事は既に多数出ているが、私がこの選挙で最も複雑な思いを感じたのは、一つの派閥が凋落(ちょうらく)するさまを見た瞬間だ。(ジャーナリスト 横田由美子)

衆院選、石原伸晃氏は
比例復活もかなわず落選

 投開票日の午後8時ジャストに、「石原伸晃氏、小選挙区で落選」という速報が流れた。比例復活すらできなかった。

 伸晃氏は、所属議員が8名前後と小さいながらも、「近未来政治研究会」(近未来研=石原派)という派閥の領袖である。まだ60代の大将が首をとられた以上、派内の求心力が大きく下がることは言うまでもない。その上、会長代行の野田毅氏も落ちている。近未来研は、開票終了時点で合計6名となってしまった。もはや、派閥の体をなせないことは、誰の目にも明らかだった。

凋落の兆候は派閥創設時にまで
さかのぼる

 かつての近未来研の隆盛からは考えられないが、今振り返れば、現状を招く兆候は幾つもあった。