記念撮影に臨む岸田文雄首相（最前列中央）と第2次岸田内閣の閣僚たち Photo:Anadolu Agency/gettyimages
甘利明・前自民党幹事長の失脚により、後任に外務相だった茂木敏充氏が就き、茂木氏の後任に林芳正・元文部科学相が選ばれる玉突き人事が行われた。その裏では、岸田政権の「闇将軍」と称された安倍晋三元首相、麻生太郎・自民党副総裁、甘利氏の「3A」を分断する岸田文雄首相の政略が動いている。その実態とは？（イトモス研究所所長 小倉健一）
林芳正・新外相の誕生の裏に
岸田首相による「3A分断」作戦
第2次岸田文雄内閣で外相に就いた林芳正元文部科学相。先の総選挙で参議院議員から衆議院議員のくら替えに成功し、将来の宰相候補と目される人物の「スピード出世」が波紋を広げている。
その最大の理由は、岸田氏が安倍晋三元首相と距離を置く布石と見られているからだ。地元・山口県で両者は先代から続くライバル関係にある「天敵」で、長期政権を狙う岸田首相の深謀遠慮がうかがえる。
そしてこの閣僚人事は、岸田政権の「闇将軍」と称された安倍元首相、麻生太郎・自民党副総裁、甘利明・前自民党幹事長の「3A」を分断する岸田文雄首相の政略の一つといえる。
甘利前幹事長の失脚によって生じた党内のパワーバランスの変化を捉えた、岸田首相による「3A分断」の実態を解説しよう。
