写真:ボードゲームを楽しむフルーカー一家左上から時計回りに、ボードゲームを楽しむフルーカー一家、自宅で過ごすフルーカー夫妻、98歳の祖母の面倒を見るエバさん、イーストベールの自宅前で遊ぶフルーカー夫妻の子どもたち(9月18日撮影) PHOTO: ALEX WELSH FOR THE WALL STREET JOURNAL

 フルーカー夫妻はロサンゼルス都市圏から引っ越して以来、ビーチで過ごす夏の週末や毎月のディズニーランド訪問、お気に入りのメキシコ料理店やラーメン店を恋しく思っている。

 しかし、カリフォルニア州ノーウォークにある1700平方フィート(約158平方メートル)の家で、在宅授業を受ける2人の子どもと98歳の祖母と窮屈な思いをしながら在宅勤務をしていたことは恋しく思わない。彼らは、コロナ禍に「インランドエンパイア」と呼ばれる同州のリバーサイドとサンバーナディーノ両市を中心とする都市圏に移住したカリフォルニア在住世帯の1組だ。米国で最も人口の多い同州で、転入者が最も多いのがこのインランドエンパイアだ。

 約2500万人の人々が昨年、カリフォルニア南部のロサンゼルス郡境からアリゾナ州とネバダ州に至るまでの2万7000平方マイル(約7万平方キロメートル)の地域に移動した。

 米郵政公社(USPS)の定住所変更データによると、インランドエンパイアはアリゾナ州フェニックス周辺と並び、2020年に全米で最も転入世帯数が多い地域となっている。フェニックス周辺の昨年の転入世帯数は2019年比で減少した一方、コロナ下でリバーサイドとサンバーナディーノ両郡への人口流入は加速し、50%増となった。

 こうした移転はカリフォルニアの人口動態を変化させている。同州の中間層は、内陸の砂漠や山間地域に移動するケースが増えている。一方、ロサンゼルスやサンフランシスコなどの沿岸部の都市では、富裕層や移住する余裕のない低所得者層が多くを占めるようになってきている。