衆院選に勝った岸田文雄政権は各種の政策を本格稼働させ始めている。経済政策では「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」「令和の所得倍増計画」などの方針を掲げてきた。
具体的な内容の詳細はいまだ明らかではないが、賃金の引き上げと所得格差の縮小がその中核となるだろう。
「賃金引き上げ政策」では、人件費を増やした企業への法人税減税などが打ち出されているが、企業が自ら進んで賃金を引き上げるようにすることが重要だ。それを実現する方法はある。
日本経済の最大の問題は
潜在力、成長力の低下
経済政策では、新型コロナウイルス感染防止を中心にした短期の対策と中長期の政策とを、明確に区別することが重要だ。
過去30年程度を振り返っても、GDP統計から算出する労働分配率や所得格差を示すジニ係数はほぼ横ばいとなっていて、日本で著しく格差が拡大した証拠は見られない。少なくとも格差の縮小は中長期の経済政策での最優先課題ではないだろう。