「ツタヤがピザハットの買収を計画しているとする。はたして、これはよいアイデアだろうか?」――なんの前ぶれもなく面接官から、このような質問を投げかけられるのが、戦略コンサルティング会社の面接なのだという。こうした事前の準備なしには対応不可能と思われるニッチな分野で、10年以上にわたって世界トップの位置を占め続けているベストセラーの最新版、それが『戦略コンサルティング・ファームの面接試験 新版』である。著者はハーバード大学就職課を皮切りに世界中で10万人以上の戦略コンサルタント志望者の面接を指導してきた人物。面接試験対策だけでなく、コンサルタントのような戦略思考が身に着けられると評判の本書から、ポイントを紹介していく。
戦略コンサルタントの面接試験では、極めて独特の質問が飛び出す
「ツタヤがピザハットの買収を計画している。はたして、これは良いアイデアだろうか?」
仮に、このような問題を出されたとき、あなたは論理的で説得力のある結論を提示することができるだろうか?
マッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループ(BCG)をはじめとする戦略コンサルティング・ファームの採用プロセスでは、「ケース・インタビュー」と呼ばれる面接テストが行われており、上記のような問題が何回も出題される。また、採用の合否を判断する際には、ケース・インタビューの評価がいちばん大きな比重を占める。つまり、ケース・インタビューのための勉強は、あなたが戦略コンサルタントという憧れの職業に就くために、避けては通れない道なのである。
本書は、米国で戦略コンサルタントへの就職・転職を目指す人のバイブルとなっている“Case in Point”の邦訳書であり、旧版(原書第5版の邦訳)は2008年9月に出版された。日本でも就職希望先として戦略コンサルティング・ファームの人気が高まったことと、ケース・インタビューの対策本としては類書がほとんど存在しないこともあり、幸いにも旧版は非常に多くの方々が手に取ってくださり、アマゾンの同ジャンル書籍では過去10年以上にわたり売れ筋ランキングで上位を占め続け、読者レビューでもそれなりに高い評価を得てきた。
一方で、原書はそれ以降も定期的に改訂を続けており、現在では第11版が出版されている。本改訂版は原書第10版の邦訳書となり、一部は旧版と内容が重複している箇所もあるが、本書の肝とも言えるアイビー・ケース・システムがより実践的で使いやすいものに改善されているほか、公的機関・非営利団体を志望する場合のケース対策など、新しい内容も追加されている。面接の現場で大きな力を発揮するアイビー・ケース・システムの紹介や、豊富なケース事例といった旧版の優れた点を生かしながら、より充実した内容となっており、すでに旧版を持っている人も新たに多くのことが学べるはずだ。
本書を存分に活用することで、最難関と言っても過言ではない面接を読者が突破し、晴れて戦略コンサルタントへの道を開くことができれば、訳者としてこれ以上うれしいことはない。(訳者:辻谷一美)