「デジタルドル」に米FRB幹部から懐疑的な意見が出る理由Photo:123RF

 「デジタルドル」は米決済システムに資するか

 2021年5月、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がビデオメッセージを通じて連邦準備制度(Fed)によるデジタルドルを巡る検討状況について述べた。この中でパウエル議長は、過去数年間にわたってさまざまな角度からCBDCのメリットとデメリットについて検討を重ねてきたことを明らかにし、今後の議論の焦点は、デジタルドルが米国の決済システムの改善に資するか否かを判断することにあると述べた。

 米国の決済システムは、諸外国の決済システムと比べても安全性や革新性などの面で高い水準を満たしている。そのため、デジタルドルの導入がプラスの効果をもたらすかをしっかり見極める必要があるとの立場を示したものである。

 その上で同議長は、デジタルドルに対するFedの見解を取りまとめた討議資料をいずれ公表するとともに、社会のデジタル化が進む下での決済サービスの在り方、金融包摂の推進、プライバシーの尊重、情報セキュリティーの確保といった論点について市中協議を開始することを明らかにした。