「デジタル円」はいつ始まる?実現に向けた課題を解説Photo:123RF

中銀デジタル通貨の制度設計を議論

 わが国では2020年10月、「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」が公表され、21年度から中銀デジタル通貨の基本機能に関する概念実証が進められている。21年10月15日には、第2回目となる中銀デジタル通貨に関する連絡協議会が開催され、概念実証の進捗状況や今後の進め方などについて、金融機関・政府関係者との間で意見交換が行われた。今回は、日本銀行によるデジタル円を巡る取り組みを整理してみたい。

 日本銀行では、デジタル円に関する検討を進めるに当たり、次のような基本的方針を示している。第一に、今後のさまざまな環境の変化にしっかりと対応できるよう準備を進めることである。ビッグテックによるグローバルな規模でのステーブルコインの実現に向けた動きなど、情報技術の進歩に伴う革新的な動きが起きている。こうした中で、将来的に中銀デジタル通貨への需要が高まる可能性もあり、そのような環境変化への備えを今からしておくという趣旨である。