金融包摂とCBDC
今回は、CBDCにどのような狙いがあるのかについて、海外の論調を参考にまとめたい。まず、新興国などについていえば、国民に対して金融サービスを幅広く届ける「金融包摂」のためにCBDCを活用するケースが多い。
主要国に先駆けて分散台帳技術を使ったCBDC「サンド・ダラー」を2020年10月に導入したカリブ海の島国・バハマでは、大小多くの島々で構成される国土に金融サービスをあまねく提供する上で、ハリケーン等の自然災害や停電によって銀行券の供給に支障が発生することや、離島では民間ベースの金融サービスを採算に乗せられないという課題に直面していた。
こうしたなか、バハマ中銀は「いつでも、誰でも、どこでも」金融サービスにアクセスできるようなインフラとしてCBDCを導入したのである。バハマと同じ時期にCBDCと同等のサービスを提供する「バコン」を導入したカンボジアでも、金融包摂の推進は重要な狙いである。