「ツタヤがピザハットの買収を計画しているとする。はたして、これはよいアイデアだろうか？」――なんの前ぶれもなく面接官から、このような質問を投げかけられるのが、戦略コンサルティング会社の面接なのだという。こうした事前の準備なしには対応不可能と思われるニッチな分野で、10年以上にわたって世界トップの位置を占め続けているベストセラーの最新版、それが『戦略コンサルティング・ファームの面接試験 新版』である。著者はハーバード大学就職課を皮切りに世界中で10万人以上の戦略コンサルタント志望者の面接を指導してきた人物。面接試験対策だけでなく、コンサルタントのような戦略思考が身に着けられると評判の本書から、ポイントを紹介していく。（訳：辻谷一美）
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戦略コンサルティング・ファームが求めている能力
ケース・インタビューは本来楽しいものであり、戦略コンサルタントを志す人の能力や適性を多方面から評価することができる、非常に優れた面接手法である。
コンサルタントは、非常に多くの時間をクライアント企業の現場で費やすことになる。彼らは数人から構成されるチームで働き、時にはクライアント企業の従業員を率いることもある。また、コンサルタントは混沌とした状況の下で、非常に大きなプレッシャーを感じながら、一見解決の糸口が見えないような課題に取り組まなければならない。したがって、（1）プレッシャーの下でも常に冷静でいられる能力、（2）適度な距離を保ちつつも、クライアントに取り入っていく能力、（3）自分の考えを明確に伝えられる能力、（4）高度な分析力、のすべてが戦略コンサルタントには求められる。
コンサルタントは自らの頭脳を売る仕事であるが、それと同時に、人を引き付ける魅力や、自信にあふれたパーソナリティも要求される。あなたがケースに取り組んでいる間、面接官はあなたが次の資質を備えているかを評価しているのである。
●リラックスしているか？ 自信があるか？ 思慮深いか？
●人の言うことをよく聞いているか？
●高いコミュニケーション能力があるか？
●人を引き付ける魅力があるか？ 熱意があるか？ 知的好奇心にあふれているか？
●社交性があるか？ プレゼンテーション能力があるか？
●示唆に富んだ質問や、意図が明確な質問を投げ掛けることができるか？
●何が本当に重要なのかを正しく判断することができるか？
●情報をうまく整理し、論理的な枠組みを使ってそれを分析することができるか？
●仮説を立てて考えることができるか？
●ケースを多面的な観点から捉えて議論できるか？
●できる限り、数字を使って答えようとしているか？
●基本的なビジネス感覚と一般常識を備えているか？
●創造的な思考ができるか？
●困難な状況にうまく対処できるか？
●感情的にならず、落ち着いて自己弁護を図ることができるか？
十分な準備と練習さえ積めば、ケース・インタビューはあなたが思っているほど難しいものではない。ケース・インタビューと学校のテストを同一視したくはないが、準備をしっかりとすればするほど良い結果が出るという点では、両者は共通している。
あなたにも、テスト対策を万全に行った科目では、試験用紙を早く受け取って、さっさと問題に取りかかりたくて仕方ない気持ちになった経験があるだろう。ケース・インタビューも同じである。面接官はあなたの表情を見て、あなたが早くケースに取り組みたくてウズウズしているかどうかを判断しているのだ。彼らは、それをあなたの自信の表れと捉えている。
