
参院選直後から噴き出した自民党内の「石破降ろし」は最終局面に入った。総裁選の前倒しの是非を検討することが8月8日の両院議員総会で確認されたからだ。次の焦点は、どのタイミングで総裁選前倒しについて総裁選管理委員長の逢沢一郎が手続きを開始するか。何よりも続投への強い意志を持つ首相の石破茂がタオルを投げ入れるかどうかにある。ただ、この間の展開を見れば、反石破議員、メディアを含めて「石破の意志」の正確な理解がないまま退陣ありきで突き進んだ。大手メディアはこぞって石破退陣を前提にした紙面展開、番組作りに向かった。
しかし、石破は一貫して続投の意志を繰り返し今に至る。報道や党内の動きが逆に石破の意志を強固なものにさせているとしか思えない。7月28日の自民党両院議員懇談会では中堅若手議員が石破に激しい言葉を浴びせた。
「参政党に流れた票を取り戻すには保守回帰しかない」「戦後80年談話は出させない」。多くの政党が罵声飛び交う内部抗争の果てに崩壊に向かった光景を彷彿とさせたが、4時間半に及ぶ追及を受けた石破はこう語った。
「(続投方針は)変わりません。果たすべき責任を果たす」
さらに深夜になって政治の師でもある元副総裁の山崎拓に決意を伝えた。
「アイアン・ウィル、鉄の意志でこの局面を乗り切っていきたい」
この両院懇談会を含めて一連の運びを仕切った“司令塔”は石破政権を支える幹事長の森山裕だった。まず懇談会開始に先立って森山は自民党の事務局に異例の説明をさせている。
「両院議員総会で総裁を辞めさせることはできない」
その上で森山は冒頭の挨拶で党内に参院選総括委員会を設置し、8月中をめどに報告書をまとめる方針を明らかにした。これによって石破の進退問題の決着は「早くて8月末」というスケジュール感を定着させた。加えて森山は「報告書がまとまった段階で自らの責任を明らかにしたい」と述べた。