任天堂の新型ゲーム機「Wii U」が、12月8日にいよいよ日本で発売される。2009年3月期には5552億円もの営業利益を出した任天堂だが、12年3月期は営業赤字に転落した。スマートフォンの普及が進み、ゲーム市場はソーシャルゲームが急成長している中、ゲーム専用機メーカーの任天堂は復活できるか。
「ニューヨークなどでは、Wii Uは完全に品薄の状態」と任天堂幹部は興奮気味に言う。Wii Uは米国では日本より一足早く11月18日に発売されたが、発売1週間での販売台数は40万台を超え、「(47万台売った)Wiiには及ばないものの、それに匹敵するぐらいの順調な滑り出し」(任天堂幹部)と受け止めている。
日本での発売は12月8日だが、「予約の受け付け枠はおおかた埋まっている」という。11月中旬で受け付けを終了した量販店も出た。
Wii Uの特徴はコントローラーにディスプレーが搭載され、テレビとの2画面で、またはコントローラーの画面のみでプレーできることにある。従来のWiiは誰かがテレビでゲームをしていると、他の人はテレビを見ることができなかったが、Wii Uなら可能だ。
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任天堂はWii Uの販売に、11年に発売した携帯型ゲーム機、ニンテンドー3DSでの経験を生かそうとしている。3DSでは発売当初に強力なソフトがなく苦戦したので、Wii Uでは12月8日の発売日に合わせて、任天堂のゲームを代表する「スーパーマリオ・ブラザーズ」を含めて11の有名なソフトを出す。
3DSが販売不振で値下げせざるを得なかったことから、Wii Uでは最初から価格を抑えWiiの発売時並みの価格にした。実はベーシック版2万6250円、プレミアム版3万1500円は、それだけでは逆ザヤ(損失)が出る価格設定だ。それでも、ソフト販売で稼いで「2013年3月期にはWii Uは収益貢献できる」と岩田聡社長は公言する。