任天堂が、6日深夜(日本時間)、米ロサンゼルスで世界最大のゲーム見本市「E3」で、新型ゲーム機「Wii U」を発表した。2012年3月期、373億円の営業赤字を計上しただけに、大ヒットした「Wii」の後継機種であるWii Uにかかる期待は大きい。任天堂の“顔”である宮本茂専務が登壇すると、会場に歓声がわき起こった。

 ところがその期待とは裏腹に、6日の同社株価は前日比170円ダウンの9120円となった(同日の日経平均株価は前日比151.53円の上昇)。

「発表された内容に特に大きなサプライズはなかった」(ある証券アナリスト)は事実だが、株式市場が評価しなかった主な要因は二つある。

 一つは操作性。「Wii U」の手元で操作するリモコン、「ゲームパッド」は機能が多く、初心者が使いこなせるかどうか、不安が残った。初心者に受け入れられなければ、販売数量が伸び悩む。

 もう一つは、ネット対応の遅れだ。ネット対応の強みは、ダウンロードでゲームの追加アイテムを買うことや、知らない人と対戦できることで、毎回、新鮮なゲームができたり、長く遊べたりすることが特徴だ。ところが、任天堂は「(ネット対応は)視野には入っている」(同社幹部)ものの、E3では全面に打ち出さなかった。

 任天堂は家族が安心して遊べるブランドにこだわるあまり、「追加アイテムを出すことで不完全なものを販売していると誤解されてはいけない」、「出会い系の温床になってはいけない」(同幹部)と慎重な態度をとったためだが、市場関係者には「動きの遅い会社」と映ったようだ。

 今回、任天堂は従来どおり、E3では技術発表にとどめ、価格や発売日は後日、改めて発表することとした。既定路線だが、実は、価格も懸念材料の一つだ。