【Twitterフォロワー数52万人、YouTubeチャンネル登録数48万人】と、今どきのママパパに圧倒的に支持されているカリスマ保育士・てぃ先生の子育てアドバイス本第2弾『子どもが伸びるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育て○×図鑑』ができました!
子育ての悩みは、決して親の能力や愛情の深さの問題ではなく、子ども特有の気持ちやものごとのとらえ方、体の状態を知るだけでうまくいくことが多いと、てぃ先生は教えてくれます。
この連載では、「てぃ先生が実際に試して効果のあった伝え方」や「保護者が絶賛した斬新なテクニック」を厳選。「子育ての困った」が「成長」に変わるコツをお伝えしていきます。(2023年6月2日にタイトルを修正しました)

てぃ先生の<br />子どもを怒鳴ってしまっても<br />自分を責めなくていい理由Photo: Adobe Stock

トラウマって?

 親がよく軽い気持ちで言う「置いてっちゃうからね!」という言葉についてYouTubeで発信したところ、「私も親に言われてトラウマです」という大人からの反響がたくさんありました。かくいう僕自身も「悪いことをしたら警察に連れてっちゃうよ!」って言われて、実際に交番近くまで母親に連れて行かれたことがあって、今でもずっと覚えています。

「怒られるからやる」は続かない

 こういう「脅し」による子育てって、大人が思う以上に子どもの心に傷を残すし、大人としても「これはよくない対応だ」ってわかっているけれど、即効性があるのでついやってしまうんですよね。

 でも皆さんもおわかりのとおり、「怒られるからやる」「怒鳴られるのが怖いからやる」というのは、本来のモチベーションとしては間違っています。だって「怒られるからやる」のであれば、怒る人がいなかったり、怒り方が変わったりしたら、その子はそれをやらないわけですから。

 もちろん、人に危害を加えるとか自分自身を傷つけることをした場合など、しっかり叱ったほうがいい場面もあります。でもほとんどのことは、少なくとも怒鳴るよりは、子どもの気持ちを認めたうえで何がよくなかったのか伝えたほうが、子ども自ら正しいモチベーションをもつことにつながると思います。

 たとえば子どもが走っちゃいけないところで走っていたとき、「走っちゃダメって、何回も言ってるでしょ!」って言うと、子どもは怒られるのが怖くて足がストップします。でも、なんでそこで走っちゃいけないのか、何をするのが正しいのかがわからないから、怒られた恐怖が抜けた途端、また走り始めちゃうわけです。それよりも、走りたくなった気持ちを大人が受け止めたうえで、なんでここでは走っちゃいけないのか、なんで危ないのか、どういう状態がいいのかを理解してもらったほうが、そのときだけじゃなく、同じような場面で子どもが走らなくなる可能性が高くなります。

 もっといい方法として、走ったときに叱るんじゃなくて、子どもが正しい行動、つまり歩いているときに、「今日は静かに歩いていて素敵だね」「ゆっくり歩いていて、ママみたいでかっこいいね」と言われたほうが、子どもはいい状態の自分を認めてもらっているからうれしいし、歩いたほうがいいと自然に考えられるわけです。そしてその結果、自分自身も気持ちがいいし、ママパパもおだやかでにこにこしていてうれしいな、っていう状態になって、次もきちんと歩けるようになるという、正しいモチベーションにつながります。

言っても理解してくれないときは?

 ただ、子どもって大人とくらべて理性がまだ十分発達していないので、一度言っただけではわからないし、お子さんによっては何回言ってもなかなか理解してくれないこともあります。そういうときは、正しい行動を伝えつつ、叱らなくていい環境を用意するのもポイントです。

 たとえば、ママパパがリモートで会議をしているときに、お子さんがギャーギャー騒いでいたとします。それに対して「静かにしなさい!」って言っても、3~4分後、へたしたら30秒後にはまた騒ぐかもしれません。でもたとえばぬり絵や間違い探しなど、その時間に子どもが集中して楽しめるものを用意してあげれば、「静かに!」と言わなくても、子どもが勝手に静かになってくれますよね。やっぱり子どもってロボットみたいに「命令したら動く」というわけにはいかないので、そこは工夫が必要になります。

怒鳴ってしまったら、自分にもケアを

 そして最後に。僕の親も僕に対してときどき脅すようなしつけをしていたんですが、今、僕は自分でも自覚するくらい、とても自己肯定感が高いです。それは、いいとはいえない対応をされたこともあったけど、それ以上にうれしいことや、いいこともたくさんあったからだと思うんです。

 もし子どもを怒鳴ってしまったとしても、怒鳴ってしまった自分を責めてもなんの解決にもなりません。それよりは、怒鳴られた子どもと一緒に、怒鳴ってしまった自分のこともケアすることを忘れないでください。傷ついているのは子どもだけではなく、ママパパも同じですから

 本原稿は、てぃ先生著『子どもが伸びるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育て○×図鑑』からの抜粋です。この本では、ママパパの子育てが楽しくなって、子どもの「困った」が「成長」に変わるコツを紹介しています。一緒に楽しく、子育てしてみませんか?(次回へ続く)

てぃ先生の<br />子どもを怒鳴ってしまっても<br />自分を責めなくていい理由
てぃ先生(てぃーせんせい)
関東の保育園に勤める男性保育士

保育士として勤務するかたわら、その専門性を活かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演は年間50回以上。

他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。

ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常についてのつぶやきが好評を博し、Twitterフォロワー数は52万人を超える。子育てのハウツーを発信しているYouTubeも大人気。

著書は『子どもに伝わるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』(ダイヤモンド社)、『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(ベストセラーズ)、コミックほか多数。