サムスンサムスンはCEO2人が率いる体制となる Photo:NurPhoto/gettyimages

【ソウル】韓国サムスン電子の実質トップである李在鎔(イ・ジェヨン、53)副会長は1月初旬、半導体工場を視察し、新年のあいさつで社員を激励した。サムスンの成長が頭打ちになっているという危機感がにじんでいた。

 創業者の孫である李氏は社員を前に「われわれは新たなサムスンとして立ち上がるべきだ」と訴え、「共に新たな未来を切り開くことができる」と呼びかけた。

 サムスンは7日、李氏の助言に従い、会社として新たな一歩を踏み出した。3人の共同最高経営責任者(CEO)はすべて交代。スマートフォンと家電を集約して単一部門とした。サムスンは今回の事業再編で、ライバルのアップルのように結束したエコシステムを構築できるかもしれない。スマホがサムスンのデバイスや家電をつなぐデジタルな支点になり得るためだ。

 李氏とサムスンの双方にとって、今年は激動の1年だった。李氏は1月の演説から数週間後に、前大統領への贈賄罪で再び収監され、8月に仮釈放が認められた。サムスンは世界的な半導体不足が追い風となって過去最高の四半期売上高をたたきだし、このほど米国での巨額投資も発表した。