freeeが前年同期比5割超の大幅増収でも営業赤字に陥った戦略的理由Photo:PIXTA

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はfreee、マネーフォワードの「フィンテック」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

フィンテック2社は大幅増収
売り上げを伸ばし続けられる要因は

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のフィンテック業界2社。対象期間は21年6~9月の直近四半期(マネーフォワードは21年6~8月期、freeeは21年7~9月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・freee
 増収率:52.4%(四半期の売上高34億円)
・マネーフォワード
 増収率:39.1%(四半期の売上高38億円)

※freeeは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 フィンテック業界2社はいずれも前年同期比増収となった。特に、freeeは前年同期比5割超の増収だ。ただ、大幅増収となった同社だが、営業損益は赤字となっている。次ページ以降では、大幅増収が続く要因と、営業赤字の事情について詳しく解説する。