急拡大するSaaS市場。ベンチャー企業も続々参入しているが、クラウド会計分野で2強となったのがマネーフォワードとfreee(フリー)だ。2社共に直近四半期の売上高伸び率は40%台であり、高水準を維持している。両社はストック型ビジネスの安定性を確立したが、死角はないのか。特集『目指せGAFA! メガベンチャー番付』(全10回)の#3では、そのビジネスモデルの秘訣を重要指標とともに徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
バックオフィス向けSaaSで地位を築き
時価総額は東京電力や双日を上回る水準
クラウド会計2強の時価総額首位争いが激化している。マネーフォワードが上場したのが2017年9月、freee(フリー)は19年12月で、共に上場から5年以内の若い企業である。
にもかかわらず、2社共に市場からは高く評価されている。9月8日時点でどちらも時価総額は4800億円台だが、これは双日や東京電力ホールディングス、川崎重工業を上回っている。
売上高水準でいうと、両社は川崎重工業の100分の1程度。しかも、共に前期は赤字の企業である。どうして、これほどまでに市場から注目されているのか。
コロナ禍において株式市場でも大きなテーマとなったのが「SaaS(Software as a Service)」の事業モデルを持つ企業群である。バックオフィス向けSaaSは潜在市場が2兆円以上ともいわれるが、この2社はクラウド会計分野で既に圧倒的な地位を築いているのだ。
とはいえ、成長市場には大手企業を含めて、多くの企業が参入。SaaS系企業のIPO(新規公開株)も増加傾向にある。ライバルが増える中で、今後も2社は圧倒的スピード感で成長を継続できるのか。
株価は数年先までの高成長を織り込んでいる水準であり、SaaS企業でも「突然の大量解約」により大幅減収減益という怖い事例がある。死角はないのだろうか?収益モデルを解説しつつ、参入障壁やライバル企業についても分析する。