「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

頭がいい人と悪い人「給与を上げたいとき」の行動の差Photo: Adobe Stock

 年収は自分だけで勝手に決められるものではありません。交渉するときは、希望をただ伝えるのではなく「根拠」が必要です。転職エージェントを通すからこそなおさら、数字&書面でやりとりするのが確実だと思います。

 交渉の前提として、確実にやっておきたいのが「自分の現状の給与をまとめる」ことです。現状の整理をせずに「とにかく年収を上げたい」という交渉をしても、エージェントも企業も取り合ってくれません。

 具体的には、給与が支払われた証拠となる源泉徴収票を集めておく。そのうえで、自分の給与の内訳を改めて理解し、新しい会社と何が違うのかを把握します。自分の給与に対する理解が浅いと、本来はプラスすべき金額を交渉できないまま話がまとまってしまうことがあるので、注意してください。

 現状と転職先で違うかどうか(同じか)、チェックすべきポイントは次の通りです。

・裁量労働制か、残業代が出るか
 現職が「基本給+残業代」で新しい職場が「基本給のみ(残業代を含む裁量労働制)」であれば、新しい職場の給与には、残業代の分を上乗せしてもらう必要があります。過去の自分の平均残業時間を調べ、交渉の材料にしましょう。

・福利厚生費は出るか
 現職で「家賃補助」や「出張手当」などの各種の福利厚生があり、新しい職場でこれらがない場合も、その分を給与にプラスしてもらう交渉が必要です。

 伝統的な日本のメーカーなどは、家賃補助(住宅手当)や社宅、出張費などの福利厚生が手厚く、こうした手当は非課税のものもあるため、結果的に大幅に手取りが増えている人もいると思います。企業によってはそのような手当はないことも多いので、注意してください。目先の年収金額が上がっていても、手取りが本当に増えるのか(減らないか)を計算してみてください。

・源泉徴収票に表れない部分
 特殊なパターンかもしれませんが、僕はスバルとPwC時代、1年以内にポジションが2回変わったので年収がいっきに増えました。しかし、期中の中途半端な時期だったので、前年の源泉徴収票にはそれが反映されず。デロイトへの転職時には状況が複雑だったので、「現状のまとめ」を表にして提出し、エージェントを通してやりとりをしていました。

 交渉に、こうした表の提出が必ず必要なわけではありませんが、自分で自分の状況を整理するために活用してもいいと思います。