英国は新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」と、米国や欧州で感染の大部分を占める「デルタ株」が流行の主流の座を巡ってせめぎ合う実験場となりつつある。米国などの先進国にとって、英国がオミクロン株をどの程度抑えられるかは、人口の多くがワクチン接種を受けている場合にウイルスはどう動くのか、感染したらどの程度重症化するのか、多くの変異によってオミクロン株はデルタ株を駆逐するほどの優位性を獲得したのか、などを知る手がかりとなるだろう。南アフリカは先月末、オミクロン株に警戒するよう世界に呼び掛けた。同国では現在、オミクロン株の感染者数が急増している。しかし米国や欧州でオミクロン株の感染が広がったらどうなるかを予想するには南アフリカは「信頼できるひな形」ではないかもしれないと科学者は指摘する。南アフリカは欧米と比べてワクチン接種率が低く、人口も若い上、感染者の多いデルタ株とオミクロン株が競合していないからだ。しかも南半球は現在夏で、新型コロナは人が室内で身を寄せ合う冬場に広がりやすい傾向にある。これまでのところ、南アフリカのオミクロン株感染者の多くは軽症だ。
オミクロン株の米国での感染、英国が手がかり
人口構成が似ている米国は英国の状況からヒントを得られるだろう
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