リチウムの価格が足元、数年ぶりの水準に跳ね上がっている。リチウムは電気自動車(EV)からスマートフォンまであらゆるものに搭載される充電式バッテリーに欠かせない原料で、供給確保に向けた競争が激化しているほか、長期的な不足への懸念も高まっている。調査会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス算出のリチウム価格指数は5~11月に2倍に値上がりし、年初来の上昇率は約240%に達した。同指数は5年前のデータ算出開始以降、最高水準にある。押し上げ要因となっているのが、供給不足が続くとの市場の読みだ。テスラをはじめ自動車メーカーがEV販売を拡大する中で、需要は雪だるま式に伸びている。一方、これまでの弱気相場やサプライチェーン(供給網)の制約を背景に、新規プロジェクト向けの投資は限られており、供給の足かせとなっている。また生産会社は環境破壊を懸念する市民の反対に遭うことが多く、開発許可を得る手続きも非常に煩雑だ。