すぐに役に立つものほど、すぐに役に立たなくなる

 書店の本棚を見渡すと、多くのハウツー本にあふれています。「2時間でマスターできるファイナンス」「すぐに分かるプロジェクトマネジメント」など、魅力的なタイトルの本がたくさん出版されています。

 ビジネス書以外でも、「会話が途切れないための50のコツ」や「誰でも痩せられる黄金法則」などの本が、書店にはたくさん並んでいます。

 私もそれらの本を読むことはありますし、大変有用なものもたくさんあります。

 一方で、それらの多くが、すぐに役立たなくなる情報だという点は覚えておいてください。

 すぐに役に立つということは、ハウツー本から得られるハウツーが具体的だということになります。これまで何度も解説してきていますが、下図のとおり、具体的だということは、極めて限定的なシチュエーションにしか適用できないということです。

 ある経営者が書いた部下のマネジメントに関するハウツーが、読者の置かれているシチュエーションと偶然一致していれば、そのハウツーは即効性があるでしょう。

 しかし、同じ手法が他の部下にも通じるかどうかは分かりませんし、「十人十色」の言葉どおり、国籍、性別、年齢、これまでのビジネス経験などが全く同じ部下というのは、なかなかいないでしょう。