ニューノーマルの時代にはこれまでの勝ちパターンは通用しない。変革期に必要な新しい思考回路が求められている。それがアーキテクト思考だ。アーキテクト思考とは「新しい世界をゼロベースで構想できる力」のこと。『具体⇔抽象トレーニング』著者の細谷功氏と、経営共創基盤(IGPI)共同経営者の坂田幸樹氏の2人が書き下ろした『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考 具体と抽象を行き来する問題発見・解決の新技法』がダイヤモンド社から発売された。混迷の時代を生きるために必要な新しいビジネスの思考力とは何か。それをどう磨き、どう身に付けたらいいのか。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けする。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。

昭和頭の経営陣に、現場発の改革を決断してもらうためにはどうすればよいのか?Photo: Adobe Stock

保守的な上層部の人たちが、
首を縦に振ってくれない

 第1回から第5回までの連載では『アーキテクト思考』の全体像について解説しました。第6回以降はアーキテクト思考の使い方について、読者からの質問に回答する形で事例を交えながら解説しています。

 本日の質問は以下になります。

「私は大手金融機関の支店に勤務しています。日々直接お客様と接していると、今の業務が全く顧客視点になっていないと感じられるため、これまでビジネスモデルを改革した方が良いと何度か支店長や本社の企画部門に提案してみました。しかし、昭和頭の保守的な上層部の人たちは、話は聞いてくれても決断まではしてくれません。もうあきらめるしかないのでしょうか?」