「僕も時々、高級ブランドのハンドバッグを売るような高マージンの商売をやっていればなあと、夢見ることもありますよ」。

 こう語ったのは、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス。去る11月28、29日の2日間にわたって、ラスベガスで開催されたアマゾンのクラウドサービス、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のユーザー・コンファレンス「Re: Invent」の壇上でのことだ。

「Re: Invent」初日の基調講演に立ったAWS担当上級副社長のアンディ・ジャシー

 ベゾスは、AWSはキンドルのビジネスと同じだと説明した。アマゾン製の電子書籍リーダーやタブレットであるキンドルは、ハードウェアとしての価格がかなり安い。アマゾンにとっては原価割れの価格とも言われるのだが、ユーザーがこれを手にしてコンテンツを利用すればするほど、アマゾンの収入が増えるというビジネスモデルで成り立っている。AWS もそれと同じ。つまり、個々のサービスのマージンはかなり低いが、ユーザーが利用すればするほどスケールの経済が拡大する「高回転、低マージン」のビジネスとして想定されているというわけだ。

AWSの利用が好循環を生み
ユーザーは「差別化」に注力

 AWSが世界中のユーザーを集めて行ったコンファレンスは、今回が初めて。60ヵ国から6000人が参加し、基調講演のストリーミングは1万2000人が観ているという。AWSは190ヵ国に数十万のユーザーを有し、そのうちの300は政府機関、1500が教育機関だという。

 初日の基調講演に立ったAWS担当上級副社長のアンディ・ジャシーは、AWSの核心的なバリュー(価値)を解説するプレゼンテーションを行った。

 AWSは、企業が自社でサーバーやデータセンターを抱えることなく、コンピュータ処理能力やストレージをすぐに確保し、また使った分だけ支払うような方法で利用できるもの。それによって企業がハードウェアやソフトウェアのメンテナンスに時間を浪費せずに、「自社を他と差別化する」ビジネスそのものに注力できるようにするというのが売りである。