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中央自動車道・笹子トンネル(山梨県)で発生した崩落事故の影響で、12月の物流の混乱が懸念されている。
中央道が通行止めとなって、東名高速道路など迂回ルートに自動車が集中している。「現在は全便2時間前倒しで輸送している」(陸運中堅・川崎陸送の樋口恵一社長)などの対応を取る会社もある。
12月は年間を通じて最も物量が多い月である。ヤマト運輸の小口貨物実績では、昨年12月は約1.9億個で、翌1月の2倍以上の荷動きがあった。お歳暮、クリスマス、年末年始の帰省に合わせ、これから年末にかけてヒト・モノ共に輸送量は増加の一途をたどる。一方で中央道は、事故が起きた上り線は年内復旧のめどが立っていない。
交通量がピークを迎え、物流混乱のヤマ場となるのは、年末の帰省と重なる12月29~31日の3日間だ。通常、高速道路を利用しての名古屋~東京間の移動は4時間程度だが、例年、帰省ラッシュ時は6~8時間を要する。これが今年はどれほどの遅れになるのか「予想がつかない」(中日本高速道路)という。
すでに陸運各社は、激しい交通渋滞に巻き込まれて、配送に大幅な遅延が発生するリスクを見込んでいる。
企業側の負担も増しそうだ。年末の交通渋滞による配送遅延を避けるため、小売店などでは前倒しで輸送して、店舗などに商品在庫を確保しておくケースも出てくるからだ。在庫の積み上がりは資金繰りに跳ね返ってくる。
運送業者や小売り業者にとっては厳しい冬となりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)