
「爪」「顔」に現れる危険な4つの兆候に迫ります。「爪」を見ることで貧血や肺がんなど肺の病気の疑いがわかり、「顔」のある部位を見ると肝硬変や腎臓病などの疑いがわかるといいます。ジャーナリストの笹井恵里子氏が聞きました。(東邦大学名誉教授 東丸貴信、聞き手/ジャーナリスト 笹井恵里子)
爪の中央がくぼんでいたら
貧血のサイン
前回は「耳たぶ」「まぶた」「アキレス腱」に現れる危ないサインをお伝えしました。どれも動脈硬化を進め、心血管疾患のリスクを高める恐れがある兆候です。いわゆる“ドロドロ血液”になりやすい暑い時期だからこそ、血管や血液の状態を健康に保てるように、体の小さなサインを見逃さずに過ごしてほしいと思います。
さて今回は、前回とは異なる疾患で、“見た目でわかる4つのサイン”を紹介しましょう。
まずは「貧血」です。夏場は鉄欠乏性貧血になりやすい時期だとご存じでしょうか。暑さによる食欲減退で栄養素が不足しやすく、汗とともに鉄分が流れ出やすいため、特に発汗を伴う活動が多い人は体内の鉄分が減少しやすいのですね。
体内の鉄分が不足するとヘモグロビン(赤血球の血色素)などの合成がスムーズにできず、体内の酸素の運搬や、筋肉への酸素の供給が滞ります。主な症状としては疲れやすくなる、すぐ息が切れる、動悸がする、食欲不振やめまい、立ちくらみ、頭痛、肩こり、性機能低下などがあります。
しかし、少しずつ進行する貧血は、酸素不足に体が慣れてしまい、健康診断や診察時血液検査で指摘されない限りはわからないことも少なくありません。そこで役立つのが「爪」です。
爪の先をつまみ、すぐ離して赤く戻るのが早いのが正常。一方で白いままの場合は、貧血の疑いがあります。また爪の中央がくぼんでスプーンのようにそりかえるのも、栄養不足や貧血のサインです。
